先日訪れた店の店主は、いわゆるスピリチュアルに傾倒した人物だった。お客に対して聞かれてもいないのに一方的に話し、自分の意見を押し付けていた。それは、我々に対しても同じだった。彼の話をまとめると、人は何度も生まれ変わり、幸せになるために生まれてきたという。現在、地球が戦争などおかしくなってきているのも、順調な流れだという。こういう類の話を好きな人は同意するのだろうが、あまりにも現実からかけ離れた彼の話は、普通の感覚の持ち主であれば辟易とし、離れてゆくだろう。
現在、彼のようなスピリチュアルに興味を持つものは増えているようだが、彼らの特徴は、まず極端なほどにプラスに考える癖がある。いろいろ言葉を知っている割には、結果が伴ってはおらず、そして、お金を稼ぎきらない。霊障すなわち先祖からのサインであっても、それを勝手に良い方へ捉えてしまうので、その本質の意味に気づくことはなく、ますます霊障はひどくなってゆく。誰でも来世があると力説していたが、人を殺すなどの大罪を犯したり、自殺したりしても来世が平等に与えられるというのは、あまりにも都合の良すぎる考えではないだろうか。
一見、スピリチュアルなど目に見えない世界に興味を持つのは良さそうに思えるだろうが、その本質は自分のためのものであり、先祖のためではない。この店主も、自説を力説していたが、自分の背後に存在する夥しい先祖霊には全く気づいてはいなかった。いずれ自分が死んだ時、成仏できずに先祖の最後尾へと回されるが、その時になって初めて自分の考えが間違っていたことを理解するのだろう。彼の背後の先祖たちは、必死になって我々に訴えていた。