2011年に起きた東日本大震災から、今日で11年となる。朝からテレビでも、僧侶が海に向かって読経したり、遺族が手を合わせるシーンが映し出されていたが、共通して悲しさや寂しさの空気が漲っていた。彼らは成仏していると信じてはいるが、ではなぜ悲しみが癒えないのか、なぜ未だに涙を流すのかを真剣に考えようとはしない。彼らの魂は、実は成仏できていないことをうすうす理解している。しかし、肉体が邪魔をして、そこから先に進めないのである。彼らの姿からは、その矛盾に苦しむもがきが感じられるが、浄霊に気づくまでにはまだまだ至らないようだ。いくら街並みが綺麗に戻ろうとも、犠牲者の魂が救済されない限り、本当の復興は訪れない。
大震災によって22000人余りの死者、行方不明者が出ている。彼らが皆、成仏できずに彷徨っている姿がイメージできれば、何度慰霊祭を行おうとも、心の傷が癒えない理由が少しは理解できるだろう。